先日、トルコ中銀が政策金利を50bp引き上げました。これに対してマーケットは失望。それもそのはず。市場は大幅利上げを待ちに待ち、期待先行でリラ買いが進んでいましたからね。
トルコ中銀としては、徐々に利上げを進めていく魂胆なのでしょう。その裏にはエルドアン大統領の複雑な心境を読み解かなければならない中銀の苦労がありそうです。
思うところをつらつらと書いていこうと思います。
- 50bpの利上げで下落
- 大統領のお気持ちを忖度
- 値頃感で買いました
50bpの利上げで下落
去る12月14日はトルコ中銀の政策会合がありました。本家サイトのコラムで書いた通り、焦点となっていたのは利上げの有無です。エルドアン大統領の側近から「利上げしてもイイヨ」的な発言が出ていたのです。
これに対して、市場参加者は俄然やる気を出しましたね。利上げとなればトルコのインフレ懸念が後退しますから、経済にとってプラスです。マーケットではリラ買いが進みました。
ところがどっこい。政策金利の発表と同時にリラ円は下落した次第です。これは期待が先行しすぎた例ですな。紙上ではやれ「150bpsの利上げだ」やら、「200bps以上の利上げが必要だ」等々の議論が交わされておりました。結果、出てきた50bpsという数字に失望したのでしょう。「期待で買って、事実で売る」を地でいく結果となりました。
bp(ベーシスポイント):金利の単位。1bp=0.01%
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大統領のお気持ちを忖度
今回の事の顛末を見ていて思ったことは、チェティンカヤ中銀総裁も大変だなあ、という感想です。多分、中銀内ではケンケンガクガクの議論があったと思いますよ。ただ、トルコ中銀は昨年の利上げではリラが反応しない(むしろ最安値を更新した)という痛い目にあってます。中銀としては、慎重にいきたいのでしょうね。
加えて、「利上げGO」の発言が大統領の経済顧問から出ている点も、事態を複雑にしていますね。大統領本人が言うのと、側近が言うのでは、安心感に大きな差があります。まあ、大統領本人はリフレ派ですから、おいそれと利上げOKなんて言えない事情もあるのでしょう。全部、個人的な感想ですが、そんな政治的な事情があるように妄想しています。
ちなみに、大統領がリフレ派なのはトルコの経済成長を優先に考えているからですね。実際、今年のトルコはGDP2桁成長というふざけた数字を叩き出しています。それでもリラの通貨レートが上がらないのは、インフレ経済からの破綻コースが懸念されているからですね。
ここら辺のメカニズムはリスク分析として、また今度書こうと思います。
値頃感で買いました
スッタモンダのあった中銀発表ですが、管理人はその翌日に買いました。購入レートはリラ円で29円付近です。
根拠は主に値頃感ですか。詳しく書くと長くなるのですが、RSIにトレンドライン引いて押し目を探る手法を採用しています。すると、中銀発表の後の下落が管理人には押し目に見えたのですよ。というより、発表前から割高過ぎて売られるなと思ってましたし、大幅利上げはないとも踏んでいました。いわゆる「想定内」の状況だったんですね。
一方で、中銀は小幅ですが利上げを始めましたね。来年から徐々に政策金利を引き上げていくことでしょう。多分、エルドアン大統領の顔色を伺いながらコントロールするはずです。まだ、本人からクレームは入っていない模様。
何気に、チェティンカヤ・トルコ中銀総裁は大変です。だって、インフレと暴君の両方をコントロールしなければならないのですから。と、勝手に忖度してみましたがいかがでしょう。あと、今年の流行語大賞は忖度(そんたく)だと思います。