11月8日に米大統領選が行なわれますね。つい選挙1週間前までは、ヒラリー勝利のシナリオで市場が動いていました。ただ、同氏のメール問題でFBIが捜査に乗り出すなど、逆方向の材料が出現。トランプ氏の支持率増加で市場はリスクオフに傾きました。
現在のトルコリラは、大統領選直前で大幅なドル高リラ安に。さらに大統領選で波乱が起きない限りは、慣性でトレンドが加速すると考えています。それでも、ドル高の慣性を打ち消すインパクトとしてトランプ勝利の可能性は否定できません。その場合は、正直言って確証あるシナリオが描けません。しばらく様子見に転じたいと思います。
そんな訳で、考える所を少々語っていきます。
- トランプリスクで市場が動く
- 米大統領選のシナリオ
- トルコのニュース色々
トランプリスクで市場が動く
はじめに直近の相場動向から。最近の為替相場はトランプリスクが支配していると考えます。簡単に言って、市場がトランプリスクを意識すればリスクオフ、後退すればリスクオンという値動きです。ここら辺の値動きは、ドル円やスイスフランドルのチャートを見ていると観察することができますね。円もフランも安全通貨で、リスク回避局面で買われる通貨です。
10月の初頭にセクハラ発言がネックになって、トランプ候補が支持率を下げました。支持していた議員が見切りを付けるなど、かなりのやっちまった感がありますね。ここでトランプリスクの後退が起きました。支持率の低下とは裏腹に、市場はリスクオンでドル買いに傾いた次第です。
直近ではトランプリスク再浮上で円買い。ヒラリー候補が事務次官時代に私的メールを利用していたことが問題になっています。相対的にトランプ氏の支持率が上がりました。
米大統領選のシナリオ
こうした値動きを見ていると、市場が期待しているシナリオはトランプ敗退、ヒラリー勝利の結果ですね。熱狂的な支持者を除いて世界中を敵に回したトランプ氏。金融市場からも嫌われるという、ヒール(悪者)を地で行くキャラクターであることを感じさせます。
もし、トランプ候補の勝利になったら、圧倒的なネガティブサプライズ。イギリス国民投票と同じくらいのインパクトが市場にもたらされますね。特に実経済として、新興国は米国市場で商売がし辛くなります。なにしろ、アンチ移民・アンチ海外製品の差別的な色合いが濃い人ですから。エマージェンシー通貨はリスクオフも相まって軒並み売られると思います。
- ヒラリー勝利 ⇒ 米国利上げ ⇒ ドルコスト上昇 ⇒ 新興国投資回帰
- トランプ勝利 ⇒ 米経済混乱 ⇒ 利上げ遅れる ⇒ 新興国回帰も遅れる
繰り返しになりますが、現行の基本路線はヒラリー勝利です。このシナリオの延長線上にあるのは、年内の米利上げに対する思惑でしょう。FRBは政治とは独立して利上げ判断するとは言ってはいます。ですが、政治=経済動向にも影響するので、なんだかんだで政治も見逃せませんね。
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トルコのニュース色々
最後にトルコリラの値動きについて少々。大統領選直前の金曜日に大幅にリラが売られました。対ドルではドル高値を更新し、USD/TRY=3.15を超えています。
この値動きはヘッジファンドの決算が米大統領選前に行われたものだと考えます。11月は外資系ヘッジファンドの決算売りが行われる時期です。ご参考に。
トルコに関するニュースを見てみましょう。直近では以下のような内容が報じられています。
- トルコ大統領と米防衛長官が電話会談。IS問題の次の対策について。
- ロシアとの関係回復。ガスパイプライン構想が進展。
- 短期金利の引き下げがストップ
- エルドアン大統領が死刑制度の復活法案が提出される
- 大統領権限強化の法案が提出される
- EU渡航ビザ免除の協議が進まず
ざっと見て、クーデター直後よりも随分フラットになったと感じます。ロシアとの関係改善は良いですね。ただ、一方ではEUとの関係は悪くなっているように思います。まあ、ロシアとEUは敵対関係なんで、両方取る事は難しいものがありますから。特段、悪いニュースもないのですが、まだテロやクーデターの余波が残っていますね。経済指標があまり良くありません。
冒頭に書いた通り、利上げが済むまではまだリラ安・ドル高のトレンドが続くと思います。トルコはクーデター後の難局から這い上がる局面。一方の米国は経済回復が順調に進みきった状況です。両者を見比べれば、まだしばらくドル高であろうと考える次第です。